ダニ事件 ① [祖父]

昨日の夜、ふと思い出した昔の話。


うちの祖父がまだ健在だった頃、亡くなる3年くらい前から痴呆症が始まっていました。
下の世話がある訳でもなかったので、その点では楽だったらしい。
祖父に息子の父はやり処のない苛立ちを感じていたらしい。


そんな痴呆の始まった祖父は、兎に角突拍子もない事を始めてしまう。ある日、僕が自分の部屋で寝ていた時の話。


祖父が母を何度も自分の部屋に呼び出していた。

祖父「靖子さ~ん、靖子さ~ん」
母 「何ね?」
祖父「これ、見てんな!」と言って、畳を指差した。

指した畳の上に小さなほつれた糸が落ちていたらしい。

母 「これが何ね?」
祖父「ダニじゃ!ダニじゃ!」と興奮しながらルーペで見ていたらしい。
母 「違うが、これは糸がほつれたもんじゃが!」と言うが、祖父には聞こえない。
母が、手に取ろうとすると、祖父が言った。
「ダニを持つもんがあるか!殺せ!」
真剣にダニと思っている祖父を面倒臭いと思った母は、それを取って部屋を出て行った。

数分後、また祖父が母を執拗に呼び出し始めた。
それに苛っとした父が立ち上がり祖父の所に行った。

父 「何[むかっ(怒り)]?」
祖父「ほら!ダニが噛みついちょる!」
そう言いながら、毛布の毛玉をむしり始めたらしい。
父の苛々度は頂点に達した。

父がキッチンへ行き戻ってくると、手に持っていたものを祖父の部屋中にばら蒔いた。
それに気付いていない祖父を無視して、親父は居間へと戻っていった。

数分後祖父が怒鳴り始めた。
母を呼び出すと祖父が大きな声で話し始めた。
「部屋中にダニが発生しちょるが!ダニに食われて死ぬ!」
と言って、部屋中を指差している。
母は部屋中を見てビックリした。
何と祖父の部屋に黒ゴマが散乱していたのだ。

8b627821.jpg

そう、親父がさっき蒔いたのは、黒ゴマだったらしい。ダニダニ煩い祖父に嫌がらせをしたのだろう。

母は掃除機を持って来て部屋中に掃除機をかけた。
しかし取りきれていない黒ゴマも数粒残っていたようで、それを祖父が見つけると「ほら、生き残りじゃ!」と言って大騒ぎ!

母は何度もそれは黒ゴマだと説明するが、もう祖父の中では黒ゴマも毛布の毛玉もダニにしか見えないようで、この部屋はダニの巣窟だと叫び始めた。
母はダニじゃない事を説明する為に、その一粒を祖父の前で口に運んだ。
それが良くなかった。
祖父は、「靖子さん、ダニを食うもんか!身体中にダニが湧くがぁ~[あせあせ(飛び散る汗)]
もう祖父のパニック度も頂点!
母は面倒だと言いながらも必死に説明していた。
ある意味この介護が最も大変かも知れないと思った日だった。
僕は、その一部始終を見ながら大笑いした。

しかし、この出来事がもっと大変な出来事を引き起こしてしまうのだが、それはまた後日(^^)

※ちなみに虐待ではないので(^^)





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風来鶏

私の曽祖父は、東京オリンピックの開催された1964年正月に93歳で他界しましたが、その前年には認知症が悪化して「家に帰る(曽祖父は婿養子でした)」と良く家を出て行方が分からなくなっていました(ーー;)
by 風来鶏 (2014-10-03 18:50) 

mirai

風来鶏さん、それも辛いですね!!
そう考えるとうちの爺ちゃんは良かったと思います!!

by mirai (2014-10-06 17:02) 

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